グレーゾーンの困りごと
こんにちは。 ママクレア カウンセラーの松島です。
発達障害相談では「グレーゾーン」という言葉がよく使われます。
グレーゾーンとは 発達障害の診断のため病院に行った結果、医師から「発達障害かもしれないし、違うかもしれない」「発達障害の『傾向』がある」と、あいまいな診断を受けることがあります。そのあいまいな診断を「発達障害のグレーゾーン」と表現されます。
ご本人、または親御さんがお子さんの様子に心配を感じ、病院で発達検査を受けるのですが、「グレーゾーンの診断」で悩むご本人や保護者さんが増えています。
「発達障害です」と正確にはっきりと診断することは専門家でも難しく、とくにお子さんが小さいうちは、より診断がしにくいと言われています。
また「発達障害かもしれないし、ちがうかもしれない。だから病院に行っていいかわからない。」と、医療機関に相談するタイミングに悩む方も多いようです。 病院に行こうか悩んでいる際には、ご本人またはお子さんに「イヤイヤの兆候」がないか、意識を向けてください。 大人も子どもも、「イヤイヤの兆候」は同じです。 本人、またはお子さんの生活や人生のなかで、
イヤイヤの兆候=「キライなこと」「やりたくないこと」「逃げたいこと」が増えているときは、受診を検討してください。
グレーゾーンのご本人、または、お子さんには、特有の困りごとがあります。
グレーゾーンの人は、発達障害と同様「できること、苦手なこと」があります。
しかし発達障害と違って、苦手なことが、「ちょっとがんばるとできちゃう」というのが、グレーゾーンの特徴です。
グレーゾーンの人は、一見すると、とても普通の人です。
周囲の人と同じように行動し、同じようなことができ、周囲に溶け込むことができます。 しかし、「普通であること」に、ものすごいエネルギーを使っています。
たとえば。
グレーゾーンのAくんは小学4年生です。
Aくんは計算が苦手です。
しかし、じっくりと集中して時間をかければ、計算問題を解くことができます。 Aくんは宿題の計算ドリルをやっているとき、弟の声やテレビの音をうるさく感じます。
もっと静かなところで宿題をやりたいのですが、なんとか時間をかければ宿題は終わるので、いつもガマンしています。
そのため算数ドリルが終わると、いつもとても疲れてしまいます。
疲れすぎるとイライラして、弟や母親に八つ当たりをしたくなります。
Aくんががんばって算数ドリルをやるために人並み以上のエネルギーを使っていることは、親にも先生にも気づいてもらえません。
グレーゾーンのBさんは社会人です。
Bさんはコミュニケーションに苦手があります。
Bさんは、会社の飲み会がとても苦手です。
しかし、社会人として付き合いが大切なことも知っているし、行けばなんとかなるのもわかるので、がんばって参加をします。
飲み会の席では、なんとか周囲に話しを合わせて、楽しい雰囲気を壊すこともなく帰宅します。
しかし帰宅後はぐったりと疲れてしまい、気持ちも滅入ってしまうため、翌朝の起床がつらくなります。
Bさんが職場で人間関係をうまくやるために人並み以上にエネルギーを使いがんばっていることは、誰も気づいていませんし、Bさん本人も気づいていません。
AくんとBさんのケースのように、グレーゾーンの人は「ちょっとがんばればできちゃう」ため、一見「できる」ように見えます。
しかしその行動をこなすためには、人並み以上のエネルギーを使うため、やることにすごく疲れてしまい、慢性的な疲れを感じる傾向にあるようです。
グレーゾーンの診断を受けた、またはグレーゾーンの傾向があることで、本人、または、親御さんが、どのように対応をしていけばいいのかわからないという言葉をよく伺います。
グレーゾーンについて、私は、わりとポジティブに考えています。 発達障害は、医療の支援が必要ですが、一方、グレーゾーンは、家庭や生活のなかで対応できる状態だと考えています。 ご本人がコミュニケーションの対応法を学んだり、親御さんがお子さんへの接し方を適切にすることで、グレーゾーンのご本人が「エネルギーを使わなくても普通の人でいられる状態」になることが期待できます。
グレーゾーンの人には、周囲の理解と、日常の工夫で、生きやすくなることが可能です。
ご自身がグレーゾーンの傾向がある、または、お子さんにグレーゾーンの傾向がある、しかし、対応方法がわからない、という場合は、一度、専門機関、専門家へご相談されてもいいかと思います。
●静岡管轄発達障害支援センター●
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